2017-05

「あんのトロミが無くなる」件 - 2012.11.06 Tue

私は以前(食品会社で働いていた頃)、ある種の料理に関して、不満というか疑問がありました。


八宝菜やあんかけ等、片栗粉でとろみを付けた料理が、食べ終わりの頃になるととろみが無くなってビシャビシャになってしまう…ということです。


私だけかな、何がいけないんだろうと思って調べてみると、同様の悩みをお持ちの方がいらっしゃいました。


原因としては、
・野菜等の水分が出てきて薄まってしまう
・片栗粉の加熱が足りず、十分に糊化していない
等々が挙げられていました。


加熱は念入りにやってみたのですが、だめでした…。


一つ気になる記述があって、
「コーンスターチの方が、片栗粉(ばれいしょ澱粉ですが…)よりもとろみがなくなりにくい」との事…!?
これも早速試してみたのですが、やはり食事中にとろみはなくなってきてしまいました。。



***



ある時お仕事で介護食についての講習会に行かせていただいた際、歯科医の先生から興味深いお話を聞くことがました。


「老人介護施設で、おかゆが出てきます。おかゆはとろみがあって、ゆっくり飲み込めるため、食べやすいのです。

食べ始めの頃は、皆さんスムーズに食べて行きます。

ですが、食事も後半に差し掛かってくると、あちらこちらから「ゴホッ」「ゴホッ」と、のどに詰まらせて咳込む声が聞こえて来ます。

さて、どうしてだと思いますか?」


会場、シーンとしています。


「…ではですね、皆さんがあんかけ焼きそばのようなとろみのついた物を食べているとします。

食べ終わったお皿には、さらさらになったお汁が残っていますよね。

さて、これはなぜだと思いますか?

実は、おかゆでも、この場合でも、同じ事が起こっているのですよ。」


…おお、それは正に最近考えてた事だ。
おかゆでも同じ事が起こっているのなら、野菜から染み出た水分は関係ないし、でん粉の種類を変えても仕方ないって事になるなあ。


「皆さんの唾液には、でん粉分解酵素のアミラーゼが含まれていますね。これは実はすごい強い効果を持っている酵素なのです。

皆さんがお箸で一口食べるごとに、料理の中にアミラーゼをどんどん入れていっている事になります。

それで、とろみを作っているでん粉が分解されて、 器の中でさらさらの液状になってしまうという訳なんですね~。」


そ、そうだったのか…!
目から鱗でした。


「お年寄りのおかゆの話に戻すと、途中からおかゆのとろみが無くなり、液体+バラバラのご飯粒という状態になってしまうので、飲み込むときに気管の方に入ってしまって、咳き込むわけです。

解決策としては、食事の横に、水を入れたコップを置いておいて、一口ごとにスプーンを軽くすすぐだけで防げる訳です。」


聴講している介護施設関係者の方々は、熱心にメモを取ってらっしゃいました。


***


という訳で、とろみが無くなる原因は、皆が持っているアミラーゼの作用であるというのが真相のようでした!

(ちなみに、私は主人や娘に比べると食事中にあんのとろみがなくなりにくいので、このアミラーゼの産生能力も個人差があるのかもしれません。)


しかし、この話をやや興奮気味に主人にしたところ、
「えっ?トロミって無くなってたっけ?気にした事なかったわ~」
と言われました…。
気にしてたのは私だけだったみたいです^^;


***


しかし嬉しがりな私は、早速お試ししたくなってしまいました。

題して「唾液中のアミラーゼのせいで、本当にとろみが無くなるの?テスト」です。


鮭のあり合わせあんかけ 3_20140427011055df4.jpg
手抜きメニュー「鮭のあり合わせあんかけ」^^;
および、水の入ったコップを傍らにスタンバイします。


主人(当時は同居人)が「じゃあ俺は対照区になってあげるわ。実験にはコントロールが必要やからな」と申し出てくれました。

ご協力感謝です!っていうか、それって普通に食べるだけやん…。


と、いう訳で…

1)一口食べるごとに箸を水洗いし、ティッシュで拭き取った場合(=唾液がお皿の中に入らない→でん粉は分解されず、とろみはなくならない?)

2)普通に食べた場合(=唾液がお皿の中に入っていく→でん粉が分解されてとろみがなくなる?)

この2つを比べることにしました。



***


結果・・・


1)一口食べるごとに箸を水洗いし、ティッシュで拭き取った場合。

→とろみは付いたままでした。


2)普通に食べた場合。

→とろみは見事になくなり、サラサラの液状になってしまいました。


ちなみに、食事中よく見ていると、箸が付いている周りから、サラサラ液状化現象が始まっていました。



ううう~む、すごい。
アミラーゼ恐るべしです。

人間の身体って、すごいですね。



***



アミラーゼこぼれ話。。


知り合いの方が、「コンビニの大福をよく見ると、原材料名に「酵素」って書いてあります。これはお餅がカチコチに硬くならないように0.1%程度含んでいるんですけど、この効果がすごい!」と、大福を下さいました。

imgaffb714fzik9zj.jpg
(写真が悪くて判読できませんが、「酵素」の表示の所に蛍光ペンで印を付けて下さっています^^)

この大福、酵素アミラーゼのお陰で、とっても柔らかくて美味しかったです!


また、でん粉屋さんによれば、「パンに酵素を入れて、わざと小麦粉中の小麦澱粉を分解させて食感を良くしたりもしますよ」との事でした。
今度パン売り場で表示をよく見てみよう^^


このように、工業的にもたくさん利用されているのだそうです。
すごいです。全然知りませんでした!




もとは「家のおかずのとろみが><」っていうだけの話だったのに、こうして色々と繋がってくると、日々の生活の中で、知らない内にサイエンスな現象が起こってるんだなあ~と面白く感じました。








読んでくださって、ありがとうございました。

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めけてー

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大阪府堺市北区の自宅で小さなパン教室「FUCCA(フッカ)」を開講しています。

主人と娘(7歳)、息子(3歳)の4人家族です。

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